シンガポール発のファストファッション大手「SHEIN (シーイン)」が、初の常設店舗をフランスに開設すると発表しました。これまでオンライン販売を中心に世界150か国以上へ展開してきた同社が、ついにオフライン市場へ本格参入します。
Sheinはどんな会社?
SHEIN(シーイン)は2008年に中国で設立され、現在はシンガポールに本社を置く世界的なファストファッション企業です。160以上の国で展開し、AIとデータ分析を活用したオンデマンド生産で最新トレンドをいち早く商品化する点が特徴です。近年は環境負荷や労働環境の問題で批判を受けつつも改善を進め、フランスの常設店開設などリアル店舗にも進出しています。採用もグローバルに行われており、日本にも拠点が存在。英語や中国語を生かせる職種が多く、日本人スタッフも勤務しています。
気になる方は求人情報をチェックしてみてください。
https://www.linkedin.com/jobs/view/4191875361
選ばれたのは「ファッションの都」フランス
SHEINはまず、パリの百貨店に店舗を構え、その後ディジョン、ランス、グルノーブル、アンジェ、リモージュの5都市にも出店予定です。
同社はフランスを選んだ理由について、「世界的に影響力のあるファッション市場であり、リアル店舗展開の実験場として最適」とコメントしています。
仏大手デパートと提携し、ショップインショップ形式で展開
SHEINの新店舗は、フランスの小売不動産グループ「ソシエテ・デ・グラン・マガザン(SGM)」との提携により実現。SGMが運営するBHVマレやギャラリー・ラファイエットといった百貨店内に「ショップインショップ」形式で出店します。
この取り組みにより、Sheinは約200人の雇用創出を見込んでおり、同時に地方都市の中心街の活性化も狙っています。
環境・労働問題で批判も 透明性への挑戦
SHEINは「安くて流行の服」を短期間で大量生産するビジネスモデルで急成長しましたが、環境負荷の高さや労働環境の問題で批判を受けてきました。
スイスの調査団体Public Eyeによる2024年の報告では、一部の下請け工場で週75時間労働が確認されており、Sheinはその後「改善に努める」と声明を出しています。
フランス政府も「ファストファッション規制」に動く
2025年6月、フランス上院はファストファッション企業への新たな規制法案を可決しました。この法案は、SHEINやTemuなどの企業を対象に、環境負荷の大きい製品への罰金や広告制限を盛り込んだものです。
こうした規制の動きを踏まえ、Sheinは欧州でのブランド価値向上を目指す新戦略として、実店舗展開を打ち出したとみられます。
Sheinの新しい一歩が意味するもの
今回のフランス出店は、デジタル専業企業がリアル市場に進出する「リテールリボリューション」の象徴ともいえる動きです。オンライン発ブランドが顧客との接点を増やし、体験型購買を重視する傾向は今後さらに強まるでしょう。
まとめ
SHEINの常設店舗進出は、ファストファッション業界に新たな波を起こす可能性があります。環境・倫理面の課題を抱えながらも、リアル店舗を通じて信頼とブランド力を高めることができるかが今後の焦点です。
SHEINのようにオンライン完結のブランドが「リアル回帰」する動きは、消費者の購買行動が再び体験型へと戻っている証拠。フランス市場での成果次第では、欧州他国や日本にも同様の展開が広がる可能性がありそうです。
コメント