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2025年8月から変更!マルタの外国人就労ビザ制度が大幅改定

2025年8月1日より、マルタにおける外国人労働者(第三国籍者・TCNs)向けの就労ビザ制度が刷新されました。新たに導入された「Labour Migration Policy(労働移民政策)」は、段階的に運用され、労働市場の透明性と外国人の権利保護の強化を目的とした大規模な制度改定です。

最低給与基準が引き上げに

まず大きな変更として挙げられるのが、特定職種向け就労ビザの最低給与ラインの引き上げです。

  • Key Employee Initiative(KEI):€35,000 → €45,000

  • Specialist Employee Initiative(SEI):€25,000 → €30,000

高度人材や専門職の処遇改善を促す措置といえます。

シングルパーミット申請料の値上げ

これまで€300だった初回のシングルパーミット申請料は、倍額の€600に引き上げられました。更新時は年間€150、雇用主や職種変更時にも追加費用が発生します。例えば介護・医療系の職種であれば職務変更費用は€150に軽減されるなど、業種ごとの配慮も見られます。

求人掲載要件の強化

雇用前の求人掲載義務も強化され、雇用主はJobsplusやEURESなどに2〜3週間の掲載期間を確保する必要があります。特別カテゴリ(医療職、スポーツ選手など)を除き、全職種に適用されます。

雇用終了後の猶予期間が最大60日に

以前は速やかな出国を求められていた失職後の状況に対して、最大60日までマルタに滞在し再就職活動が可能になりました(30日+延長30日まで、経済的自立証明が必要)。

観光ビザからの切替禁止

新制度では、観光ビザでマルタに滞在中の状態から、就労ビザへ切り替えができなくなりました。スポーツ選手などの例外を除き、国外からの申請が義務付けられます。

更新時には労働条件の遵守が審査対象に

更新時には、税務データ等を用いて給与や契約内容の実質遵守状況が審査されるようになります。虚偽申告や不適正雇用の是正を意図した制度です。

企業ごとの採用枠にも制限が導入

企業規模に応じて、新たに雇用できる第三国籍者の上限が設定されました。例えば中規模企業では50%までなど、制限があります。

家族対象の就労緩和

マルタ国籍者のパートナーや23歳未満の親については、特例として通常の就労許可のみで勤務可能になります。家族との共生を考慮した措置といえるでしょう。

2025年10月以降の追加変更点

10月からは第2フェーズとして、以下の規定も導入されます。

  • 給与の銀行振込義務化:非EU労働者の給与は現金払い不可に。

  • EURESへの求人掲載が義務化:一部職種(医療・介護など)を除き対象。

  • Interim Permitの新設:ビザ免除国の出身者が入国後60日以内に申請すれば、申請中も合法的に短期滞在が可能となります。

政策の背景と今後の展開

今回の制度改定は、労働市場の公正性確保・不正雇用の排除・外国人労働者の保護を軸とした政策転換です。10月1日以降も新たな施策が追加され、2026年7月までに全15項目の措置が導入される予定となっています。

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